初めてのソロライブ版DVD。2015年収録
2015年11月・東京杉並区のライブハウス「Live Spot Terra」でのライブを収録した初のソロライブ版DVDです。引退後のソロライブ映像化は本DVDが初となる貴重な映像となりました。また萩原健一への提供曲「しょうがねえなァ」の弾き語りは初収録でもあり、「青春の蹉跌」の演奏映像などとも併せて、見応えのあるDVDです。
2015年11月、東京杉並区のライブハウス「Live Spot Terra」でのライブの模様を収録したソロライブDVDであり、引退後のソロライブの映像作品は本DVDが最初でそして最後の一枚となった、貴重な記録です。さらにこのDVDでは、萩原健一氏への提供曲である、「しょうがねえなァ」の弾き語りバージョンを収録しておりますが、この楽曲は、一度、弾き語りでCD化、の俎上に上がったものの、ついに実現出来なかった、これも貴重な音源が収録されています。
ライブで使用しているギター伴奏は、井上本人がライブ用にアレンジして自身で演奏しております。本来はバンド編成での楽曲、ストリングスで演奏されていた楽曲も、ライブでギター一本のリードで演奏出来るよう苦心してアレンジしたものです。その伴奏ではドラムやベースなどの打ち込み作業は一切排除し、ギターのみの伴奏でどこまで通用するか、という井上のチャレンジも含まれておりました。まさに、ここでもALL ALONEの精神が息づいていると言えるのではないでしょうか。ギターのみの伴奏で、ドラムやベースのリズムフィーリングをお伝え出来ましたら嬉しく思います。曲間のMCも含めてお楽しみ下さい。
井上堯之のライブ、と言えばビール片手の〝酒気帯びライブ〟が定番のようになっておりました。しかし、本DVD収録に際しては〝酒気帯びライブ〟はご法度になっていたのです。更にいつもならライブ開始前からステージに居てお客様との会話をしつつ、時間になったらライブを始める、というスタイルも変更になりました。井上にしてみれば自由度の欠けるライブであったことでしょう。そして追い討ちを掛けたのが、その夜の音環境の違いだったのです。何時もより音量を上げてのライブになりました。この事は井上に、ステージ上で立ち往生させる程の影響を与えてしまいました。自分の出したい音が出せない、これは井上にとって忍耐以外の何物でもなかった事でしょう。畢竟、ライブが終了するまで、ギターやアンプのツマミを常に気にさせる結果となってしまいました。製作者側の責任者として、今でもこの収録時のことを思い出すと、苦い想いに駆られます。そして、井上自身にとっては、決して心地よく無かったであろう音環境の狭間にあって、最後まで自分のプレイを引き出そうとしていた井上に対して、改めて感謝の念を覚えるのです。
このDVD制作に当たって、ステージの表と裏での葛藤は、今でも制作現場の人間としてアーティストに対してどうあるべきか、という原点に立ち返る良い教訓として残っているのです。
ライブの約2週間前から選曲が始まります。特に何度もお邪魔するライブハウスでは、お客様も顔触れが分かっています。それだけに、いつも井上が口にする言葉は、レパートリーの少なさ、でした。ギター伴奏のオケは決まっていますので仕方ないのですが・・・。そして、最後にそれを解決するのは、ソロパートのアドリブ演奏になります。同じお客様が同じ楽曲をお聴きになっても、その部分だけは毎回違う、というのが井上ライブの特徴でもありました。
さて、このDVDでは、どんなアドリブを聴かせてくれるのか。残念ながら、DVDでは毎回違う、という訳にはいきませんが、お楽しみ頂けましたら幸いです。