クラシック奏者と新しい感覚での共演
井上堯之が客員教授を勤めていた名古屋芸術大学クラシック奏者とのトリオ。トリオ名の名付け親は井上本人である。クラリネットの竹内雅一、ピアノの松永祐未子とのトリオ。ポップスとクラシックの絶妙なコラボレーションを楽しめる。ライナーノートは池辺晋一郎氏。ジャケットの猫の原画は加山雄三氏の「寝るのが一番」。
井上堯之が名古屋芸術大学で客員教授をしていた時期。仲良くなった教授、講師の方々が沢山出来ました。その中で特に親しくしていたクラシック演奏家の2人とトリオを組んだのが、このCDです。楽器構成は井上のギター、竹内雅一のクラリネット、松永祐未子のピアノ、というこれまでになかった斬新な構成になっています。
クラリネットの竹内雅一は、本CDの中でダイナミックなクラリネットを聴かせてくれます。このトリオのステージを見聞したフランスの木管楽器の老舗・ビュッフェ・クランポンの社員がその演奏を聴いて、「是非に」と提供を申し出たほどの実力者です。ピアノの松永祐未子は、井上が「砂浜で見つけたダイヤモンド」と評したように、クラシック奏者でありながらポピュラー音楽の感覚も兼ね備えた、グルーブ感ある演奏をしています。
ところでCDタイトルの「井上堯之 MINDLESS JOHN TORIO」、名付けたのは井上でした。〝Mindless〟は〝無分別な〟とか〝思慮のない〟という意味です。トリオのメンバー2人は、品行方正な人たち。でもトリオ名を品行方正な名前にするのは、井上としては少しばかり気恥ずかしい・・・で、どうしよう?、真逆の意味にしてしまおう、と付けた名前でした。ですがさすがに「 MINDLESS TORIO」では井上は良いとしても(?)、2人まで巻き添えにしてしまう事になります。そこで〝MINDLESS 〟は〝JOHN 〟なんです、この2人、いや3人じゃありませんよ、との意を込めたネイミングでした。
ライブでも良く演奏していた「流浪の民」「BACK TO BACK」「小鳥たち」「街角・パントマイマー」「子猫のポルカ」も、クラリネットとピアノが重なり、新しい感覚の楽曲となっています。弾き語りバージョンの「愚か者」も聴き応えがあります。そしてNHK「クラシックアワー」で初披露した「ギターレクイエム」(2つのギターのためのレクイエム)はより荘重な音の重なりとなりました。
その他、名古屋芸術大学卒業公演ミュージカルからの「三姉妹の愛はどこに」は、このCDにのみ収録されている楽曲です。卒業公演では井上もバンドの1メンバーとしてステージで演奏しておりました。このミュージカルの雰囲気を少しだけ感じて頂けることと思います
ジャケットは可愛い猫の絵。この絵の作者は加山雄三氏です。井上がこの絵を気に入って購入。その後このCD制作にあたり、加山氏の了解をもらいジャケットに使用させて頂いたものです。絵のタイトルは「寝るのがいちばん」。額の裏には加山氏のサインが入っています。